海上保安庁~第三管区海上保安本部(横浜海上防災基地)
ここの資料館に何年か前に戦った北朝鮮の工作船や密輸された拳銃や麻薬が置いてありました。
結構リアルで怖かったです。本部では訓練用の大きな水槽や武術場、そして模擬船室という船の中を再現した部屋もありいろいろな事態を想定して訓練しているということがよくわかり面白かったです。中でも面白かったのは大型ヘリが搭載できる巡視船「やしま」の見学と、重油がもれてしまったときの対策の実験でした。巡視船は意外と狭くて、夜は真っ暗で…ここで何十日間も過ごしながら、常に何か問題は無いのか監視しなくてはいけないというのは想像以上に大変なことだろうと思いました。また船に搭載されているヘリコプターはちょうど整備中で裏側が見られて面白かったです。海上保安庁というと“海猿”の方を思い浮かべがちですが、こういった裏舞台で活躍する人たちもいるということを知ることができました。重油の排出事故には時と場合によって、重油を溶かしたり、油の拡散や漂流を防ぐために囲いを作ったり、繊維(?)みたいなものに絡めて取ったり…と、さまざまな対処の仕方があるということをビーカーで実際に実験しながら教えていただきました(りさ)。

海上保安庁「横浜海上防災基地」と大型ヘリ搭載巡視船「やしま」を見学
講義も終わり夏休みに入りましたが、今年の履修学生は熱心です。6月に実施した「海図」を作成する海洋情報部(築地)に引き続き東京近辺の海上保安庁の施設見学の強い希望がありました。
第一回目は、横浜港にある「横浜海上防災基地」。正式名称は、「第三管区保安本部横浜海上防災基地」で東京湾の海と海からの安全を守る重要な拠点である。

ドラマ/映画の「海猿」はここ横浜の海上防災基地でも撮影された!
第三管区保安本部に属する世界最大級の大型巡視船「しきしま」模型と実写(海上保安庁)

さあ、これから、今日の見学のハイライト、海上保安庁 第三管区横浜保安本部に属する我が国の大型巡視船「やしま」の見学です。今回、「やしま」が見学できるように防災基地の監理課の方の特別のご配慮で見学することができました。全長130m、総トン数3,500トン、2機のヘリコプターを搭載できる大型の巡視船、まさに「海の守り神」です。

第三管区の警備範囲は広く、遠くは小笠原海域から北は銚子沖から名古屋湾口から沖の鳥島までを含む「排他的経済水域」の全域という非常に広範囲な海域を担当しています。

第三管区保安本部が担任する海域
第三管区は茨城県から静岡県までにいたる沿岸水域・伊豆諸島や小笠原諸島からさらに南に位置する最南端の沖の鳥島や最東端の南鳥島の範囲の治安を守っている。(ゆき)

まず、巡視船「やしま」のブリッジ(操舵室)を見学しました。展望が良いばかりではなく、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)やECDIS(電子海図)、レーダーなど新鋭の航海機器が一杯並び、さながら軍艦のようでした。双眼鏡を使わせていただき、船は停泊中でしたが、航海中の気分で横浜港を見回すことができました。

ブリッジ(操舵室/船橋)から見た横浜港

「やしま」のブリッジで実際のチャートワーク(「海図」による航路の線引き)を保安官の方から説明を受けました。
2つの三角定規と鉛筆で船の進む方向と航路が次々に記入されて行きます。

写真は海上保安庁のホームページより
巡視船「やしま」には2機のヘリコプター(ベル212)が搭載されていますが、見学した時は、一機が船内の格納庫(基地)内でバラバラになって整備されていました。一機は羽田航空基地で待機しているそうです。整備に当たる方々の真剣な眼差しとともに、日々の訓練の厳しさを思わせる緊張感が伝わって来ましたが、最後に記念撮影をさせていただき朗らかに質問などに答えていただきました。

横浜海上防災基地の見学 防災基地内にある造波プールです。ここは「海猿」こと海上保安庁の潜水士の訓練をするプールです。洋上での救難業務は嵐の中の波高の高い中行われます。このプールでの訓練では、実際の海での救助活動のように行われます。特にこの施設には、実際に起こりうる状況に近づける為に、救難ヘリの風圧を再現できるように天井から強風が吹き下ろすファンまで取り付けられています。

施設において潜水訓練する場所が「A水槽」「B水槽」「C水槽」と3つある。「A水槽」は25メートルプールのようなものです。しかしこのプールでは人工的に波を起こすことができる。また天井には大きなファンがあり、これにより空にヘリがあることを想定した訓練ができる。また床が可動式であるので訓練にあった深さの訓練も行うことかできる。


「B水槽」では本格的な潜水訓練が行われる場所である。壁にはいくつもの窓があり、ここで外から中の様子を伺うことができる。実際の『海猿』で使われた現場で、映画ではとても深い設定になっていたが実際は10メートルだそうです。「C水槽」は常に水が濁った状態に保っている水槽である。ここでは沈没した船から船員を救助・水の中での船の解体などの訓練が行われている。私たちが見たときは非常にきれいになっていたので実際どれだけ汚いのかが見てみたかったものである。

模擬船室という訓練施設では、実際の救助訓練が行われる場所である。ここには70キロもするマネキンがあり、訓練士はこれを抱えて障害をくぐったり・登ったりします。
この海上防災基地は平常時は第三管区の横浜保安部の船艇の基地でると同時に、羽田空港にある「特殊救難隊(特救隊)」の訓練施設のほか、海難事故等に伴うオイル流出・拡散を食い止め、油を回収する「機動防除隊」の基地でもある。

全国の海上保安で第三管区にしかなく全国を守っているのが機動防除隊である。現在その隊員数はたったの12名である。彼らの仕事は海上の事故により排出された油・有害液物質を取り除く作業を行っています。その除去法には以下のようなものがある。
まず油回収装置といっていわゆる海の大きな掃除機みたいなものである。油の性質は水より軽いというもので、その性質を利用してこの装置で表面に浮いている油を吸ってしまうものである。
油というのは水のなかでは分解されません。そこで油処理剤という薬品を使うことによって分解されない油は分解してしまう。これにより油は分解され水にだんだん溶けていき海底に沈んでいく。一瞬油が海底に沈んだら海を汚染させるのではないかと思うところだが、本来油は生物が死に地中で分解されできたものなのだからけっして汚染することなく自然に戻っていくのだ。この油処理剤は現在、生物や環境に対しては何も害を与えられていないとされているためよく活用されているそうだ。またこの薬品は海面上に流れ出た油の重度に合わせて濃さを変えているそうだ。
海というのは波によって動いている。これでは除去する際に油はどんどん分散されてしまう。そこで便利なのがオイルフェンスである。これにより被害となった場所を囲ってしまい、油回収装置や油吸収マットなどで油を回収することが可能だ。
油吸収マットというのは羊毛状で柔らかい繊維が並んでいる為、油だけを吸収する便利なマットである。しかしこれだけでは吸収できないほど量が多い場合は繊維一本が太く、チアリーダーが持つようなポンポンの形をしたものがここで活躍しこれで油を絡めてすくいあげる。機動防除隊というのは始めに述べたように日本において横浜の第三管区にしかいない部隊である。そのため例え日本の北の端っこ又は南の端っこで海上での油事故があるとしても彼らは出動します。彼らは時には世界でおきた油流出事故にも協力している部隊でもある。ここの部隊には今もなお女性の人はいないそうだ。

「機動防除隊」の隊員から回収機器の説明を受ける。
防災基地内には、全国で唯一のタンカーなど原油を搭載した船舶の海難事故に伴う油の流失による海洋汚染を防止する機動部隊の基地があります。名称は「機動防除隊」(http://www.kaiho.mlit.go.jp/03kanku/93nst/)です。この部隊も東京湾で起こったタンカーの座礁事故の教訓で組織された部隊だそうで、全国で起こったオイル流出事故に対処する強力な部隊です。

薬剤による油質の分離する様子をデモンストレーションを受ける。

「機動防除隊」の勇壮(第三管区保安本部)

「機動防除隊」のエンブレム
昨年度(2007年度)は艦艇の「便宜供与」として「体験航海」も経験:
昨年は、第三管区のご配慮により、実際の巡視船に乗せていただきました。ベイブリッジより奥(港の入り口より外)の海まで乗せていただきました。私たちの乗った巡視船は「のげかぜ」といい、巡視船の中でも小回りの利く船でだそうです。実際にその特性がでる360度回転を経験しました。傾きがすごかったです!!。この巡視船は二つの方法で操縦でき、一つは車のハンドルのように操縦する方法であり、もう一つが左右の手で左右別々のエンジンを操作するという真っ直ぐ進むのが難しい操作方法である。後者の操作は難しいが速く進むには非常に適している方法だそうだ。(ゆき)