2009年1月30日金曜日

私たちと東京湾の海を守る「海保」のみんさん



海上保安庁の見学の感想
 
どの見学も非常に楽しかったです。海上保安庁など普段は全く関わりのないところを見学し、海の安全を守るためのシステムや訓練などを知ることで、あまり興味のなかった海や船にも関心を持つことができ視野も広がりました。私は最初、海上保安庁は暗くて男の人が海で訓練しているところというイメージしかありませんでした。しかし海図の補正を手作業でパソコンを見ながら行う仕事や、海の交通安全を監視する仕事などもあり、またそういったところでは女性の方も活躍している人がいるということもわかりました。さらに海上保安庁の方がそれぞれ仕事に誇りを持ちつつ丁寧に説明してくれたことで、私のイメージが変わったと同時に私たちの生活では欠かすことのできない仕事だなと、とても身近な存在になった気もしました。楽しいだけでなく大変有意義な見学になりました(りさ)。

2009年1月12日月曜日

東京湾と私たち



 国土地理院標高数値データ

私たちの住んでいる関東地方は、関東平野という平地の地形にあります。その関東平野の中心は、「東京湾」ということが言えるでしょう!東京湾は日本の首都東京、そして全国第二位の人口を有し、世界的に著名な港湾、横浜港を擁する横浜市があります。他にも人口百万規模の政令指定都市の川崎市、千葉市があり、関東平野には1都6県という全国の人口の3割を越える地域でもあります。東京湾はこの関東の海の玄関であると同時に、全国へ供給されるエネルギー・鉱産資源・原材料などの玄関にもなっている。

 東京湾は関東平野の中心に位置している。



まず、関東地方の自然環境について簡単に見てみたいと思います。

地質環境は関東平野は「沖積平野」、この数〜十数万年前に陸化した地域です。しかし、よく見えると、東京湾の下に谷があります。
なぜ、谷が東京湾の中にあるのでしょうか?



「電子海図」海上保安庁海洋情報部

海には「海図」という地図があることを知りました。「地形図」や「住宅地図」などは陸地の地図ですが、海にも地図があると知りませんでした。



この「海図」を作っているのが国土交通省の中の海上保安庁、海洋情報部(古くは「水路部」と言っていたようです)が作成しています。
戦前は日本海軍の中にある組織だったようですが、戦後は商船の航行ほか、海運国日本の運命線を守る「海運」の安全運行を支える役所です。

船の運航は、私たちの日々の暮らしと直接関係は無いようですが、最近ではヨットやモーターボートなどのレジャーで海難事故に結びついてるなど、海と私たちとは意外と身近いところにいるのではないでしょうか?

海上保安庁は海の警察だと思っているかも知れませんが、「潮干狩り」に適した日を示すカレンダーや魚釣りには欠かせないその日の「満潮」「干潮」の時刻もこの海上保安庁が提供しているのです。ご存知でしたか?

東京湾の自然地理学 その1



これは東京湾と外海の太平洋の海域の水温分布です。これを見ると東京湾が以下に人間の居住と関係の深い海であるとき付きます。
温排水、汚染された工場排水などはひと昔前の東京湾を汚くしていた原因ですが、今は、ずいぶんと奇麗になっていえると言うことです。
むしろ海岸線はコンクリートなどの人工のものに代わり、自然の干潟はどんどん減少しています。

東京湾の自然環境問題 その2



東京湾口から相模湾にかけての海底の地形が良く分かる地図ですね。

この地図(次の東京湾北部も含め)は、海上保安庁海洋情報部が作成したものです。従来、国による陸地の地図は、国土地理院(国土交通省)、海の地図地図、海上保安庁(国土交通省)が発行していましたが、この図は陸部の情報を海上保安庁と(財)日本水路協会が恊働で編集作成した図です。

東京湾の自然地理学 その3



東京湾(北部)の海底地形がよくわかるちずですね。この地図も、海上保安庁海洋情報部が作成した海陸連続図(発行、武揚堂)で、場所は、東京湾北部の図です。

東京湾の自然環境問題



この地図は、東京湾をぐるっと囲む湾岸地域の主な地名を記した地図です。良く知られた陸地の地名に対し、今では東京湾で少なくなった干潟や浅瀬などの記載もあり、東京湾への親しみが湧きます。



この図は、東京湾にある干潟の地図です。昭和の高度経済成長期には東京湾の干潟の多くは埋め立てられ、京浜、京葉工業地帯となり、
すっかり減ってしまいましたが、まだいくつかの広大な干潟が残っています。「干潟」は、干満の差にによって生まれる浅海で、貝類、藻類はじめ、数多くの水辺の生物の生息の場となっています。また、その生物を餌として飛来する野鳥、渡り鳥の休息地でもあり、生態学的に貴重とされています。東京湾には、世界的には湿原、干潟の保存すべき自然としての国際条約で有名な「ラムサール条約」に登録された湿地として、千葉県の谷津干潟(http://www.yatsuhigata.jp/about/index.html)が指定されています。

私たちに馴染み深い「干潟」の役割は「潮干狩り」で行く海岸だと思えばいいでしょう。アサリ、ハマグリなど夏に風物詩となって、東京湾が「海」としての私たちの生活と深い関係に有ることを教えてくれます。ちなみに、「『潮干狩り』に適した日」を教えてくれるところを知ってますか? ななんーと、「海上保安庁」の「海の相談室」です。ここで、潮の干満の予報を出しています。そう、船にとって潮の干満は航行上、非常に重要です。




このチラシ(地図)は、海上保安庁の第三管区保安本部(横浜)の「海の相談室」が毎年発行している「東京湾潮干狩りカレンダー」です。

海の地図「海図」がつくられるところ 海洋情報部(築地)見学 海上保安庁見学記 その1

海上保安庁海洋情報部(築地)の見学会

 「5月の自然地理学の講義で扱った「海」の地理学を学ぶねらいで例年実施している海上保安庁海洋情報部の見学を 6月26日(木曜)の午後、見学希望者のみで実施した。今年で5年目を迎える訪問・見学である。F大学の学生は、見学態度が良いので、毎回歓迎される。今回は実施時期が遅れたこともあって、試験等も近づき、履修学生の都合が付かず参加が少なかった。
 海洋情報部の歴史は今から130年前の日本帝国海軍水路部(海軍省水路局)がその発祥である。戦前は、日本の誇る「海軍」が世界の海を航海するために世界中の海の地図=「海図」を作成していた。」(太田)

海は自由に船で移動できると考えていたが実は陸のようにきちんと道路があり、交通ルールもあるんですね(驚き!)。だから、船のナビゲーションシステムが存在する。海洋情報部ではこれらの地図(海図)・海洋調査・マリンレジャー情報・防災情報などを逐一船員さんまた市民に情報を提供しているのです。(ゆき)



海洋情報部(旧水路部/戦前は海軍水路部)の歴史を語る「水路資料館」(財)日本水路協会



では、「海図」とい一言でいいますが、その種類は多種です。一般に「海図」には「航海用海図」「特殊図」「海の基本図」の3つのものがあるそうです。



「海の基本図」日本周辺 海洋情報部より

「航海用海図」には船員さんが必ず船に乗る際持っていなければならい海図であり、海の水深・浅瀬・灯台やブイなどの航路標識・陸上の建物の様子を示しています。これを持っていないことが発覚すれば事故が発生した場合、海難審判で重い罪になるそうです。かつ、この海図は随時変わるため船員は常に新しい情報に変えていかなければならないということがあります。これを「『海図』の現状維持」と言うそうです。現在、最新の技術で、船には電子海図(ECDIS)が設置されているという話です。



これは陸の自動車についているカーナビみたいなものだそうです。電子海図の主な表示機能は表示画面縮尺・自船の位置、方位、速度・変針点までの距離・安全水深・航路、変針点である。また各海の時間の様子も示すこともでき、夜の様子の「電子海図」の画面はとてもきれいでした。この夜の様子の海図で印象的に残ったのが、灯台の光の範囲がきちんと示されていたことだと思います。海洋情報部にあった電子海図は1台2000万円もする非常に高価な機器でした。現在の日本の法律ではいまもなお電子海図のみの運行は許されてなく、船員はやはり紙の海図も必ず持っていなければならないそうですが、2010年から国際条約で「電子海図」も紙「海図」と同等の法的な義務を果たす様になるとのことです。海外では既に、法律が進んでおり、電子海図があれば船を動かしてもいいようになっている国が多々あるようだ。



「特殊図」とは航海用海図に載っているもの以外の船員さんが必要とする海流図・潮流図・大圏航法図などがあります。
また、「海の基本図」とは海洋開発等の基礎となる情報を示した地図です。

 始めに述べたように海図は絶えず変化する。それらの訂正は手作業によって行われていりとのことです。訂正を行う場所は、現在、羽田空港にある「(財)日本水路協会」で実施しています。別の機会に見学したところです。そこで、実際に仕事している方に話を聞いたところ、「見た目は簡単そうでも非常に神経を使う仕事で大変だ!」と言っておられました。
大きな訂正のものに関しては新しい海図を発行します。そして古い海図はただのゴミとなってしまうが環境を考え、それで紙袋をつくるリサイクルの工夫を行なっているとのことです。

 海洋情報部は海図の他に水路書誌も発行している。これには海図に表現できない港湾・航路・気象・海象の概要を示した水路誌(国内・国外のものがある)、航路標識状況・潮汐や潮流の予報・惑星や恒星位置を示す特殊書誌があるそうです。



 海洋情報部は海図の他に「航空図」も発行していました。なぜならば、戦時、中海と航空というのは非常に密接な関係があったからである。しかし現在はもう発行されておらず、その残りもわずかでとのことでした。私たちの「自然地理学」の担当教員のO先生は、「この航空図の大家ですよ」と、情報部の方に伺いました。

またこの他に海洋情報部は海外とも情報を交換し合っているために、英語の海図と言うものも発行している。これは世界共通のものであり使う色が日本語の海図とは異なる。



 海洋情報部で働いている女性の方々のお話も伺うことができました。みな海上保安学校を卒業している方々でした。腕がどれだけ細くても片手で(両腕ともに)縄に3秒捕まる試験があることに驚きました。お話を伺った人の中にはつい最近まで船の上で実際に働いていた方がいたことにも非常に驚きました。船の中というのは非常に狭い空間である。その中でたくさん男性がいる中で働くなんて精神的にとても強い方だと感じた。ここでの仕事場の雰囲気も非常に良さそうで、いろいろと多くの社会で問題になる有給休暇や産休などがきちんとされており女性でも安心に仕事ができる空間が作られている。こういったお話が聞けてよく見られるような職業の場とは別な同じ女性の職場状況がみることができよかったです。(ゆき)

*参考文献:海上保安庁海洋情報部 (財)日本水路協会
      『海の図いろいろ』
      海上保安庁海洋情報部 『海を探る』

href="http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/jhd_history.htm">http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/jhd_history.htm



                
「海図」の作成過程の説明を受ける


 戦後は、民間の商船を中心に日本の経済を支えた海運の重要な海上交通の安全を確保するためいに海洋情報の収集に当たっている。英語名は「Hydorographic Office」。現在でも海洋情報部は、この英文の名称を海外向けに使っている(強いこだわりか?)。海上保安庁は、行政官庁の「国土交通省」に属している。元は「運輸省」にあって、他にも「気象庁」などとともに交通運輸の安全を守る観点から、海上交通に関する安全航行の支援を行っている役所である。航海に関係のあることで、意外に知られていない業務に「潮汐」=海の干満を港別に予測し、発表している。潮の満ち引きは、月と地球の位置関係から生まれるので、天体観測⇒暦を作る作業がこの役所の隠れた仕事である。最近では、海洋法の問題で、海底地形の調査、沿岸域の精密な調査など、領海、排他的経済水域などの線引きでは、極めて重要な役割を果たしている。





今回は、「地図」の視点から海の地図=「海図」を作成する官庁として海洋情報部を見学した。築地は戦前から海軍関係機関が多くあったところ。まさにわが国の「海図」の誕生したところである。2010年、海洋情報部は移転することになっていると言う。移転後は、金融庁?が霞ヶ関から移転してくるという。



海洋情報部内の「海の相談室」にて
 
 「海図」の流通、海事関係を扱い、海洋レジャーでの海洋情報を扱う(財)日本水路協会を見学する。